
Kiyoの住所である福山市蔵王町。
一見すると「特別な観光名所でもない、静かな農村」ですが、実はこのエリアには、平安から続く歴史や文化があちらこちらに点在するエリアであり、地元の人々にこそ、ひっそりと楽しんでもらいたい町です。
鞆の浦のような風光明媚な観光地ではありませんが、これがまた、のんびりと歩いてみると、あれ、こんなところにこんな歴史が?なんて驚くこと間違いなしです。
今回は、地元・福山の人にこそおすすめしたい、蔵王町の歴史的史跡等を巡るハイキングをゆるっとご紹介します。
他の観光地に負けない意外な歴史を持った史跡などを廻りながら、お子様と一緒に健康的な1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
なお、パワースポットの宝庫、蔵王町ハイキングの際には、是非、隠れ家カフェ&雑貨のお店「Kiyo」にもお立ち寄りください。
なお、蔵王山と蔵王町を1日かけてぐるっとハイキングする場合、1日ずっと置ける駐車場の確保ができるかわかりませんので、この記事の最後に、バスと徒歩のルートを掲載しておきます。(Kiyoの駐車場はランチタイム限定で、ずっと駐車しておくことはできません。)
1.蔵王山~万葉の時代に想いを馳せて
まずは、町の顔ともいえる蔵王山。標高226メートルと、お手軽な山登りが楽しめます。
「蔵王憩いの森」として道も整備されているので、途中の駐車場まで車でも行けて、頂上へも徒歩で子供でも登れます。
上りは軽く汗をかく程度で、頂上に着けば福山市内が一望できる絶景が待っています。
コースによってはロッククライミングが楽しめる上級者向けの岩場があるのも、登山の玄人筋の方には人気の山です。
山岳信仰の山ですから、いくつか神社もありますが、史跡めぐりとして忘れてはいけないのが、柿本人麻呂の万葉歌碑。※
「昔の人もこんな景色を見たんだなあ」としみじみできるかもしれません。
とは言え、実は、蔵王町周辺は今とは大きく違い、もっと風光明媚な景色だったようなのですが。
そういう歴史の謎を解きながら探索して歩くのが、この蔵王町ハイキングの楽しいところです。(イノシシ君に遭遇してもエサやりは厳禁ですよ。)
なお、古代史研究の方にも場所は謎のようですが、蔵王山の麓のどこかには「蔵王山下城」というものがあったようです。
【蔵王山下城】(「備陽史探訪の会」の資料より)
城跡は現存 しておらずその位置や規模は定かではないが蔵王山の南麓の余り低 くないところにあったものと推測される。
また城のかたちも,天守閣や櫓をもつものではなく、簡単な豪族の居館であったと思われる。
※Kiyoから近い猿田彦神社鳥居の先の駐車場から登られた場合は、石碑のあるのは別の奈良津側の駐車場の方です。車で駐車場だけ、石碑のある方までぐるっと廻れば11分くらいですが、体力に自信があれば、徒歩で蔵王山の中心を横断して往復するのも楽しいかもです。
万葉歌碑があるのは奈良津側から登る道路の駐車場の近くです。
2. 蔵王新四国八十八カ所霊場~時の流れを感じながら
四国八十八ヶ所の霊場を模した「蔵王(蔵王町になる以前は「市村」)新四国八十八カ所霊場」。
地元の信仰を感じながら、ゆっくり巡るのがオススメです。
お遍路気分で、歩くたびに心が穏やかになるような気がします(きっと)。
時間があれば、心の中で「次回は全部のお遍路、がんばろう!」と決意してみてもいいかもしれませんが、とりあえず、Kiyoのすぐ近く(86番)や医王寺さんのお地蔵様(84番)、そして、蔵王山の手前にある「北向地蔵」にお参りしてみてはいかがでしょうか。
北向地蔵は市内で他にもありますが、全国でも数百くらいと少ないらしいです。昔か らこの北向地蔵は信心の対象 として崇められていて、願掛けをして毎日坂道を上 ってきてこのお地蔵 さんに手を合わせていると健康になりたい気持ちと毎日の坂道の上り下りで足腰が丈夫になり、いつの間にか顧いが叶うのだそうです。
ハイキングにはぴったりですね。
でも、地元の人ほど、以前は何もなかったお地蔵様の背後に民家が建ってたりして時の流れを感じざる得ないかもですが、史跡巡りは、それもまた楽し、かもですね。
見どころ
・霊場巡り: 自分のペースで巡ることで、心が整う感じがします。何といっても四国の本場に行かずに済むという手軽さが何より。
なお、お地蔵様について、「手を合わせて拝んではいけない」といった一部地域の信仰や迷信があるようですので、改めて詳しく説明して頂いているこちらの記事をご紹介しておきます。
蔵王山の麓の北向地蔵は以前は背後に民家はありませんでした。2025年4月時点のGoogle Mapでは距離によって両方見れます。
3. 医王寺~心静かに
医王寺は蔵王山のふもとにひっそりと佇んでいる寺院です。Kiyoからほど近い場所にあり、静かな環境で心穏やかに過ごせます。
古き良き時代の信仰を感じることができる貴重な場所です。
蔵王小学校の発祥も、もとは医王寺の「啓蒙所」からなので、学ぶ心を忘れずに拝観しましょう。
見どころ
・歴史的な寺院: 歩きながらふと立ち止まり、地域の歴史に思いを馳せる時間が持てます。
4. 宮の前廃寺跡(国指定史跡)~悠久の時を超えて
次にご紹介するのは、宮の前廃寺跡。ちょっとシリアスな響きの名前ですが、実はここ、飛鳥時代から奈良時代にかけての仏教の遺跡なんです(歴史好きにはたまりません)。
発掘調査で出土した仏像や石塔などを見ると、当時の信仰の深さが感じられます。
散策をしながら、古代の人々の息づかいを感じる…静かな環境だからこそできる体験です。
見どころ
・仏像や石塔: 見つかっている仏像や遺物を想像しながら歩くと、なんとも言えない神聖な気持ちになれます(多分)。
・広がる自然: 静かな環境で、心が落ち着くのがいいところです。
5. 弥陀八幡社(蔵王八幡神社)~歴史の謎を楽しみましょう
お次は、弥陀八幡社(蔵王八幡神社)。古くから地域の守り神として親しまれてきた神社です。
祭神が「オオヤマツミ」だとか、広島県神社誌に書かれているのは「早良親王」だとか、歴史にちょっとした謎が残っている神社です。
しかし、ここは地域の大切な信仰の場。信仰心に触れつつ、周りの自然を楽しみながらのんびり参拝できますよ。
見どころ
・石灯籠や参道: 参道を歩くと、まるで昔の人々もこうして歩いていたのかも…なんて思いを馳せたくなります。
・不思議な歴史: 祭神や由来に関する謎があるので、調べたくなること間違いなし。
6. 仁伍の辻堂~江戸時代の旅人気分で
この「仁伍の辻堂」※って名前がちょっと重い感じですが、実は江戸時代の旅人たちの休憩所として使われていたそうです。全国的に特に有名な辻堂というものではありませんが、歴史的な特徴が良く残っている辻堂かと思われます。
歩き疲れた体を休める場所として、なんだかホッとする空間が広がっているかもしれません。
現代の私たちも、ちょっと立ち止まって昔の人々に思いを馳せることができます。
「仁伍」というのは古代の兵隊さんの部隊の呼び名※らしく、この近くに「仁伍貝塚」という場所があって、このあたりを仁伍と呼ぶんでいたらしい名残です。保育園の方には「仁伍公園」というのもあり、こちらには公衆トイレもあります。
※天平時代の軍隊は最小の単位を兵士 5人で 「伍」と呼んでいて、この 「伍」が2組で「仁伍」と呼んでいたそうです。(「備陽史探訪の会」の資料より)
※辻堂というのは全国にあり珍しいものではありませんが、「福山藩の辻堂」は特に多く設置された歴史があるようです。辻堂も深く調べてみると意外と面白い史跡です。多いとはいえ、全国的にどんどん減少していて、歴史的な建物として保存していこうという活動もあるようですから、ここも是非、残していって欲しいですね。
見どころ
・歴史的な建物: 歴史に触れながら、休息を取る感覚で歩くと新たな発見があるかもしれません。
仁伍の辻堂
7. 惣戸神社と「もやい石」~名将「水野勝成」の上陸場所
さて、次は「惣戸神社」。ここには「もやい石」という特別な石があります。なんと、この石、元和5年(1619年)に水野勝成のお殿様が船を繋いで上陸した場所だとか。まあ、今ではただの石かもしれませんが、昔の人々にとっては「今の福山の発展はここから始まった」という意味があるのです。
見どころ
・もやい石: 伝説の一部として、ひとしきり感慨深くなるのも悪くないかも。
・惣戸神社: 地元の守護神として、静かに歴史を感じながら参拝できます。
8.まとめ
福山市蔵王町は、鞆の浦のような観光地としての華やかさはないかもしれませんが、地元の人々にこそ愛されてきた静かな歴史の宝庫です。地元、福山市民や蔵王町民だからこそ知っておきたい、蔵王町の隠れた魅力を楽しんでみてください。
歩きながら「あれ、こんなところにこんな歴史が?」と驚くこと間違いなしです。
なお、今回は、距離的に近い史跡に限定していますが、体力と時間に余裕があれば、天神山の「天神社」や西鍋蓋にある「常夜燈」など、まだ面白い史跡がいくつかありますので、いろいろ調べて巡ってみてはいかがでしょうか。
【「備陽史探訪の会」のご紹介】
特にKiyoと関係があるわけではないのですが、蔵王のいろんな歴史の情報元としてお世話になっているサイトなので、ここでご紹介しておきます。
この会は、歴史好きな方が集まって、地元福山を中心に備後地方(福山以外のエリアにも及んでいます)のいろんな歴史探訪等の活動をおこなっておられます。
既に40年以上の活動実績があり、今では300名以上の会員数で、こうした会としては日本最大級ではないか、とのこと。
福山市の運営する「福山ブランド」のサイトにも登録されて紹介されています。
これからも蔵王周辺の歴史探訪もよろしくお願いいたします。
「福山ブランド」
第7回福山ブランド認定品・登録活動「備後を中心とした地域の歴史を研究し、愛郷の精神を涵養する活動」より引用
地域の歴史を掘り起こし、その面白さを発信し続ける。
地域史にまつわるあらゆる研究を軸に、講演会や子ども向けのイベントなど幅広い活動を展開するのは、県内最大規模の郷土史団体「備後を中心とした地域の歴史を研究し、愛郷の精神を涵養する活動」。その活動は、地域の魅力や歴史を再発見し、郷土愛を育むきっかけとなっています。会は小学生から90歳代まで幅広い会員で構成され、1980年の創立から40年以上を経て、今や会員数は300名を超えるほどになりました。活動の根幹を支えるのは、会員それぞれが抱いた歴史探訪への情熱と地域への愛。「歴史は楽しい!」という想いが、世代を超えてどんどん広がっています。
【「備陽史探訪の会」の公式サイト】
https://bingo-history.net/
蔵王に関する記事や情報をいくつかピックアップしておきます。
1981年には既に蔵王山の歴史探訪の活動の記録があるんですね。
蔵王山の資料では「蛙(カエル)岩」の逸話とかもあって、面白いですよ。
すぐ近くに住んでいるのに、今まで知らないことばかりで、とっても勉強になりました。感謝、感謝!
・【ぶら探訪】蔵王を歩く 市村を巡りました~2019.12.7
ハイキングの休憩に「Kiyo」の特製ハンバーグランチをどうぞ!
ハンバーグは体力を消耗するハイキングにぴったりなスタミナ食です!
ホットサンドはテイクアウト可能です。事前のご予約が確実です。
前日の12:00までにご予約いただければ、スペシャルハンバーグランチを店内で召し上がれます。
バスによる蔵王ハイキングルートの事例
こんなスケジュールで1日、ハイキングをするなら、ハンバーグランチがぴったりです。
終日駐車できる駐車場の確保が難しい場合を想定したバス利用のルートです。
9:00~11:00 蔵王山~北向地蔵
11:00~12:00 Kiyoでハンバーグ・ランチ
12:00~15:15 八十八カ所霊場86番~医王寺(84番)~宮の前廃寺跡・蔵王八幡神社~仁伍の辻堂~惣戸神社ともやい石
【ご参考ルート】バスの発着時刻等は変更される場合がありますのでバス会社等のサイトで最新情報をご確認ください。
(2025年5月現在の時刻表による土曜日の場合)
福山駅北口バス停 8:55~中国バス「奈良津」バス停 9:00
奈良津バス停 9:00~蔵王憩いの森入口 約1km 9:20
蔵王山散策 9:20~猿田彦神社鳥居 10:50
猿田彦神社鳥居 10:50~北向き地蔵を経由してKiyo 11:00 ハンバーグランチ
「福山の隠れ家で手作りハンバーグランチはいかが!」
Kiyo 出発 12:00~86番霊場(お地蔵様)~医王寺 12:10 お参り
12:30 医王寺出発 ~ 蔵王町内をハイキング ~ 惣戸神社 15:00
惣戸神社 15:15~井笠バス「綱木」バス停 15:20
綱木バス停 15:24~福山駅北口 15:42
こんなスケジュールで1日、ハイキングをするなら、ハンバーグランチがぴったりです。
終日駐車できる駐車場の確保が難しい場合を想定したバス利用のルートです。
9:00~11:00 蔵王山~北向地蔵
11:00~12:00 Kiyoでハンバーグ・ランチ
12:00~15:15 八十八カ所霊場86番~医王寺(84番)~宮の前廃寺跡・蔵王八幡神社~仁伍の辻堂~惣戸神社ともやい石
【ご参考ルート】バスの発着時刻等は変更される場合がありますのでバス会社等のサイトで最新情報をご確認ください。
(2025年5月現在の時刻表による土曜日の場合)
福山駅北口バス停 8:55~
中国バス「奈良津」バス停 9:00
奈良津バス停 9:00~
蔵王憩いの森入口 約1km 9:20
蔵王山散策 9:20~
猿田彦神社鳥居 10:50
猿田彦神社鳥居 10:50
~北向き地蔵を経由して
Kiyo 11:00 ハンバーグランチ
「福山の隠れ家で手作りハンバーグランチはいかが!」
Kiyo 出発 12:00~
86番霊場(お地蔵様)~
医王寺 12:10 お参り
12:30 医王寺出発 ~
蔵王町内をハイキング ~
惣戸神社 15:00
惣戸神社 15:15~
井笠バス「綱木」バス停 15:20
綱木バス停 15:24~
福山駅北口 15:42